傷だらけのラブレター



―…だって、知ってる。




気まずい空気を取り除くために、直也が一生懸命話題探しを頑張ったこと。




これは、私のための“優しい嘘”だったことも。




全部、全部、切ないぐらい分かってるんだ。




『…はい。』




半分投げるように渡した消しゴムは、跳ねつつも、スッポリ直也の手のひらに収まる。




「サンキュー!」




それを確認した直也は、爽やかに微笑みながら、また、私に背中を向けた。




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