傷だらけのラブレター
『…もう。次は忘れないでね!』
そう言いながら、直也の消しゴムを奪いとるように受け取った私。
視界の端に映った直也は、困ったように、けれども無邪気に笑っていた。
確かに、笑っていたの。
「わかってるって。」
そんな笑顔がまた、私の胸を罪悪感にも似た気持ちで積もらせる。
直也はきっと、私が直也の嘘を見抜いてることなんて知らない。
ましてや、直也の嘘を知っていて、私が騙されたフリをしているなんて、ひとかけらも思っていないんだろう。
―…やっぱり。
直也の嘘と、私の嘘は違うものだった。