傷だらけのラブレター
生きる意味は、わからない。
でも、生まれてきてよかったとは思う。
「…だーれだっ?」
突然、明るかった視界が真っ黒になって。
目元が、なにか温かいものに包まれる。
…この声、知ってる。
生まれてからずっと、聞き続けてきた声。
直也の、声だ。
『…もーう、それぐらいわかるから!
直也、でしょ?』
そう言いながら、目に覆われていた手のひらを、半ば強引にひっ剥がす。
くるん、と振り向いた先には、悪戯っ子のように笑う直也が立っていた。