傷だらけのラブレター
「別にいいじゃん!
なにを今更……」
まるで、スローモーションのように。
今まで無邪気に笑っていた直也の顔が、ゆっくりと表情をなくしていく。
直也の口から出ようとしていた言葉は途切れ、それはしぼんだ風船のようだった。
『…直也?』
なにかが、おかしい。
嫌な予感がする。
なにかが罅割れたような、モヤモヤ感が胸を渦巻いて。
頭が警報を鳴らしているのを閉じこめるように、手のひらをギュッと握る。
不安で。不安が降り積もっていて。
私は覗きこむように、直也の顔を伺ったの。