傷だらけのラブレター
それはほんの一瞬、一秒足らずの時間だったと思う。
『……っ!』
直也の視線が一点に向いていたことに気づいた私は、“例の物”をパッと机から奪う。
見られて、しまったかもしれない。
「…愛未。」
『……。』
「それ、何?」
手術案内のパンフレット、を…。
『……。』
直也の口調があまりにも真剣で、背中に隠されたパンフレットを力強く握る。
見られたくない。
知られたくない。
直也だけには、隠しておきたかった。