傷だらけのラブレター
おとしもの
今まで積み上げてきたものなんて、無駄でしかなかったの。
『直也…!』
パタパタっと音を立てながら、前を歩く直也に歩み寄る。
今は、下校の時間。
私は所定の位置から、直也の隣へ行こうとしていた。
理由は、あのラブレターを渡すため。
こんなことがない限り、直也の隣へ行く勇気がない私は、本当に情けない。
「…ん?」
…やっぱり、直也が好きだ。
ポケットに手を突っ込みながら立ち止まり、軽くこちらを振り返る直也を見て思う。
何気ない一瞬も、直也がキュンとする時間に変えてしまう。