鈍感彼女


ガラガラッ――


図書室に来てみたものの、龍の姿はない。

「どこ行っちゃったんだろ?

意地悪王子…」

キョロキョロしながら中へ入ってみると…


「誰が意地悪王子だってぇ?」

あきらかに不機嫌な龍がいた。

「杏がそんなにいじめられたいとはっ…」

そう言うとだんだんと近付いてきた。

ドキドキしちゃって、
動けない…

「反抗はぁ?」

王子は不機嫌顔から意地悪な顔へ変わった。

「ち、近い…」

「顔…真っ赤」

クスッ…

笑われた。

それと同時になぜかキュンッときた。

この笑顔は反則ですよ。

「こんな顔、他の男にみせんじゃねぇぞっ…」

「へっ!?」


…やっぱあたしキモいからみんなに見せられるものじゃないんだ。

分かってることだけど、
いざ言われるとショックだったり……しゅんッ
(↑単なる杏柚の勘違い)



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