鈍感彼女
「お~時雨ッ
大丈夫だったか?」
「は、はい」
「お前らが最後だ。
五十嵐もありがとな」
「いえ」
そう言って、先生はバスに乗り込んで行った。
あたし達も続けて乗った。
「杏柚ッ!
王子にお姫様抱っこされたんだって?」
「えっ!!?」
「羨ましいなあ~
あの王子になんて!」
あたしは優輝君にしか興味はないけど、と付け足すと目を輝かせてあたしを見た。
「杏柚、保健室でなにがあったの~」
ニヤニヤしながら聞いてきた。
「特になにも…
ほっぺにキスされたくらいかな…?」
「ほ…ほっぺにキスですって~!!?」
「ちょ、ちょっと!
あんまり大声ださないでよね!」
龍に聞かれてたら、
恥かしいじゃんっ
「ごめん、ごめん!
で?
杏柚はされるがままって感じだったのね」
抵抗できなかったのもあるけど、
自然と受け入れられたのかな…。