鈍感彼女


こいつ、軽すぎ。

ちゃんと飯食ってんのか!?


メガネが割れていたから、もう少しでバレるところだった。



保健室に入ると、女の先生が何やら慌てていた。

「あらッ、五十嵐君じゃないの!

その女の子はどうしたの?」

「ボールの打ちどころが悪かったみたいで、気絶してるんです。」

「まあっ!
大変じゃない!!

あッ
でも、ごめんなさいね、
わたし今から熱中症で倒れた子を病院へ連れて行かなきゃ行けないの。」

「そうですか。」

そっちの方が何かと都合が良い。

「だから五十嵐君、その子の看病してあげて!

必要な物は置いて行くから♪」

「はい」

俺は今さっきベッドに寝かせた杏柚を見た。


よそ見でもしてたんだろ。

ったく、どんくせぇ奴だ。






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