鈍感彼女


楽屋に入り、お母さんはカーテンの後ろに行き、着替え出した。

「杏柚、元気ないみたいね?」

「え…
そ、そう?

いつも通りだけど!?」

みんな、本当にエスパーなんじゃないかってくらいあたしの心の中が見えちゃうって言うか…

ある意味怖いですよっ…。

「学校でなにかあったの?
お母さん、あんまり家にいないから杏柚寂しくない?」

ん~
寂しくないと言ったら嘘になってしまう…

けれど、今元気がないのはきっと五十嵐君のせいだ。

「ううんっ!
大丈夫だよっ?

こうやって毎日お母さん達の仕事見れるの楽しみだし!」

「そう…
なら良いんだけどっ…。」

お母さんはまだなにか言いたそうだったけど、
あえて言わなかったみたい。

なぜか分からないけど、今のあたしもそうして欲しかった。


放課後から思い出すのは五十嵐君のことばかりで、話をしていても理解しているのか分からなかった。
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