鈍感彼女

しばらくして、お父さんも戻ってきた。

着替えてから、
3人で楽屋をでた。

行き交う人は皆、お母さん達に頭を下げながら挨拶している。

とくに男性ﾓﾃﾞﾙ達はお母さんに釘付けで、
女性ﾓﾃﾞﾙ達は目をハートにしてお父さんを見ていた。


…すごい人気ぶりだ。

「男の視線は見逃せねぇなっ…。」

お父さんは呟いた。

きっとお母さんに向けられる視線に敵対心を感じていたみたい。

「杏柚も気をつけろよ。」

「何にっ?」

気をつけろよって何に気をつけろって?

コケたりとかはしないよ!
多分…。

「鈍感なのがダメなのよねぇ…。」

「その通りだ。」

この2人は何を話しているんだ?

まっ何でも良いけど!!

(男性ﾓﾃﾞﾙ達の視線が自分にも向けられてたことをまったく分かっていない杏柚。)