鈍感彼女


―杏柚 サイド―


あたしは幼い頃から独りぼっちだった。

毎日保育園には家政婦さんと行ってたし、
家に帰って来たって、
お母さんとお父さんがどちらもいる日なんてめったになかった。

それでも、あたし達兄妹は我慢してきた。

仕事で忙しいお母さん達…
でも、オフの日は寂しさなんか埋めてしまうくらい構ってくれた。


物心ついた時からあたしは、お母さん達が他の友達のお母さんと違った仕事をしていることに不満を持っていた。

`モデル'

それだけで、みんなは一目置く。

普通の生活をどれだけ夢みたか分からない。




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