屍都市Ⅱ
これほどの犠牲者が出ておきながら、国は陰島の事件を一般には公表していない。

それどころか島への唯一の交通手段である連絡船を廃止、島にも一般人立ち入り禁止とし、地図から陰島の存在すら抹消している。

事実の隠蔽以外の何だというのか。

そして…。

「やっぱりな」

颯太は妹の遺したノートの一文で確証を得る。

『陰島から漂着したゾンビの死体から寄生虫が美原市に蔓延』。

国の事実隠蔽、そして対応の遅れが、美原市の大惨事を引き起こしたのだ。

この華鈴のノートは、美原市大災禍の真実を語る重要な手掛かり。

「華鈴は死に際に、そのノートを私に託してくれました…」

俯き加減に理子が呟く。

「私が持っていてもどうにも出来ないけれど…華鈴のお兄さんの颯太さんなら、華鈴の遺志を無駄にしないでくれると思ったんです…」

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