屍都市Ⅱ
一階は既にゾンビ達によって埋め尽くされている。

ならば奴らを逃れて二階へと移動したくなるのが人間の心理。

そして翔也の読み通り。

「見つけた」

スーツを纏った金髪の外国人が、その左手にアタッシュケースを握ったままそこにいた。

しかし唯一翔也の予想と違ったのは。

「っ…」

彼は既にゾンビによって致命傷を負わされ、虫の息だったのだ。

ひゅーひゅーとおかしな呼吸音を立て、瞳孔も開きかけている。

首筋に歯列痕。

的確に急所を噛み千切られている。

これでは真相を聞き出すどころか、あと五分ももたないだろう。

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