屍都市Ⅱ
歯噛みする翔也。

やっとここまで追い詰めたというのに、全ては徒労に終わった。

このままこの男が死ねば、真相は闇の中だ。

いや、こいつはきっとゾンビとして復活するだろうが、ゾンビとなってしまっては知能も著しく低下する。

どのみち真相を聞き出す事は不可能だろう。

「くそっ…」

あと一歩のところで。

悔しさに床を殴りつける翔也。

そんな彼の目に、男の持つアタッシュケースが入った。

死の間際までしっかりと握り締められたアタッシュケース。

余程大事なものなのだろうか。

取っ手と左手首は手錠で頑丈に繋がれていた。

万が一にも奪い取られる事のないようにという事だろうか。

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