屍都市Ⅱ
電話を切り、翔也は溜息をつく。

これでいい。

とりあえず情報を外部に持ち出す事に成功した。

万が一自分の身に何かあっても、自分が知り得た真実がこのまま有耶無耶になる事はない。

あとはこの空港から脱出するだけだ。

追っていたアメリカ政府関係者が死んだ以上、最早ここはゾンビの巣窟でしかない。

そんな場所に用事などない。

「……」

目の前の、既に息絶えた政府関係者の亡骸を見る。

その手に握られたアタッシュケース。

この中に入っていた機密書類だけでも、証拠物件として持ち出しておくか。

手掛かりは多い方がいい。

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