屍都市Ⅱ
書類に手をかける翔也。

その手を。

「!!」

土気色の手が掴んだ!

…生臭い息、饐えた体臭。

死んだ筈の政府関係者の男は、その白く濁った眼をカッと見開き、翔也を睨んでいた。

貴様如き小僧にこの文書は渡さんと言わんばかりに。

「くっ…」

ここに来て、翔也は詰めを誤った事を知る。

死んでからゾンビとして蘇生するまでの時間が、思っていた以上に早かったのだ。

まさかこんなに短時間でゾンビ化して復活するとは!

「くそっ、放せ!」

何とかゾンビ化した男の手を振り解こうとする翔也。

だがその握力は凄まじく、彼の手首がミシミシと音を立てる!

< 115 / 214 >

この作品をシェア

pagetop