屍都市Ⅱ
横たわったまま、最早動けない翔也。

そんな彼ににじり寄ってくる影。

一階に群れをなしていたゾンビ達が、手負いの彼に迫ってくる。

「潮時か…」

息を荒くしながら、翔也は仰向けに寝転がる。

後悔はなかった。

自分の得た情報は颯太に全て託した。

彼なら必ず真実を手に脱出してくれる。

何たって、殺しても死にそうにないしぶとそうな男だからな…。

「いいか…ゾンビども…」

今にも食らいつこうとしているゾンビ達に、翔也は告げる。

「てめぇら亡者と違って…人間には受け継がれる意志があるんだ…たとえ俺が駄目でも…俺の意志は必ず生き残る…」

一体のゾンビが翔也の腕に噛みつく!

その痛みに悲鳴を堪えながら。

「どんなにてめぇらが食らい尽くそうが…ぐぅっ!…俺の意志だけは食い尽くせるもんかよっ!」

< 119 / 214 >

この作品をシェア

pagetop