屍都市Ⅱ
「待ちやがれ、畜生ぉおぉぉっ!」

悔しげに叫ぶ榛原の声に振り向く事なく、颯太は走る。

激しい銃撃の音が響く製薬会社の施設。

榛原は銃を持っている。

恐らくゾンビ達にやられる事はないだろう。

ゾンビ達を始末したら、すぐに颯太を追って来るに違いない。

「……っ」

脇に抱えた箱を見る。

これを奪われる訳にはいかない。

絶対に街の外へと持ち出さなければならない。

…榑市に入る前に深幸に言われた言葉を思い出す。

果たさなければならない使命。

本当にそんなものがあるとすれば、これがきっと俺の使命…!

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