屍都市Ⅱ
その製薬会社の施設内。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

改良型寄生虫の入った箱を抱えたまま、颯太は廊下をひた走る。

既に呼吸は上がってしまっていたが、立ち止まる事は許されない。

何故なら。

「っ!」

弾丸が頬を掠める。

「チッ、しくじったか!」

背後から舌打ちと声が聞こえる。

改良型寄生虫の回収に来た榛原が、今も尚颯太を追跡しているのだ。

丸腰のまま箱を持って逃げる颯太。

榛原は米軍基地で入手した数々の銃火器で、颯太を追い詰めようとする。

現在榛原が使用しているのはM4アサルトライフル。

オート(連射)とマニュアル(単発)に切り替えられる銃なのだが。

「くそっ!」

その弾丸が底をついたらしい。

M4を投げ捨てて、別の銃に持ち替えようとする榛原。

…今がチャンスだった。

榛原がもたついているうちに、颯太は廊下を駆け抜けて一気に建物の外へと走り出る!

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