屍都市Ⅱ
成程ね…。

颯太は目の前に立つこの自称探偵の高校生に対する認識を改める。

甘いマスクに似合わず、場数を踏んだプロだ。

何より観察力と洞察力に優れている。

颯太の身のこなしや気配、視線などから、危険人物ではない事を即座に判断したようだった。

倉城 翔也か。

『手を組む』に値する小僧かもしれない。

「九重 颯太だ。止せばいいのに国に噛み付いて窓際に追いやられた憐れなブン屋さ」

「だろうね…賢い新聞記者なら、こんな所で張ったりしない」

颯太から名刺を受け取りながら、翔也は軽口を叩いた。

この口振りからしても、ここで張っている目的は颯太と同じらしい。

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