屍都市Ⅱ
考えてはみるものの、運休だというのだから仕方がない。

深幸は次の駅で電車を降りた。

そしてすぐに駅のロータリーでタクシーを捕まえる。

「榑市まで」

後部座席に乗り込むなり、深幸は行き先を告げる。

全くもう…お陰で高い出費になっちゃったわ。

電車なら運賃で千円も要らないのに。

そんな事を考えながら、携帯で理子に電話を入れる。

いくら身内とはいえ、理子も女の子だ。

身嗜みを整える時間くらいは欲しいだろう。

しかし。

「あら…?」

電話しても理子は出ない。

居留守なのだろうか?

もう一度かけ直すが、やはり理子は出ない。

おかしいわね…昨夜はすぐに出たのに。

さては深幸が来るのを知って、逃げたのだろうか。

その時だった。

「!」

タクシーが突然停車する。

「お客さん」

運転手が振り向いた。

「こりゃあ駄目だ。検問張ってるよ」

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