屍都市Ⅱ
真剣な眼差しで、深幸は颯太を見つめる。

…占いというのは、当たる当たらないは二の次だと彼女は思っている。

嘘も方便なのだ。

占って欲しいとやってきた人間に、明日への指針を指し示すのが占い師の役目。

死に歩む者に、そうではない、それは正しい選択ではないと、別の選択肢を提示する事も仕事なのだ。

「ちょっと運試ししない?」

深幸はジーンズの後ろポケットから大アルカナ22枚を取り出す。

「一枚引きなさいな」

「あぁ?今そんな事やってる場合じゃ…!」

呑気な事を言い出す深幸に颯太は苛立つが。

「運のない奴がこの街に入ったってゾンビに齧られて他人の迷惑になるだけよ」

フフンと、深幸は嘲るような笑みを浮かべた。

「タロット一枚引いてる間にもう殺されるような弱い運の奴は、街に入っても同じ事…そう思わない?」

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