屍都市Ⅱ
颯太から悪魔のカードを取り上げ、深幸はもう一度見せ付けるようにする。

「果たすべき使命、神に役目を与えられた者は、それを果たすまで死ぬ事はない。貴方には使命があるのよ。自覚しているかどうかは知らないけどね」

果たすべき使命…。

考え込むように、颯太は俯き加減になる。

「さて、そこで提案なんだけど」

急に語調を変えて、深幸は何かを指差した。

「そこにエンジンがかかったままのパトカーが一台放置されているんだけど…検問も混乱でがら空きになっているし、車でなら突破できると思わない?」

「……」

全く、どこまでも抜け目ない女だ。

しかし颯太は、決して悪くない印象を深幸に抱いていた。

その上で。

「あんたは逃げないのか?」

もう一度訊ねてみる。

「使命って程じゃないけど」

深幸は颯太を見とれさせた、あの髪を払いのける仕草をもう一度見せる。

「私もこの街に用があるのよね」

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