屍都市Ⅱ
廊下を走り、教会の裏口へと急ぐ。

追いかけてくる足音が聞こえた。

幸いその速度は鈍いものの、殺気すら感じさせずに追跡してくるというその行為が、幼いマリの恐怖を否応なく煽る。

どうして?

どうして私がこんな目に遭うの!

泣きじゃくりながら裏口のドアノブに手をかける。

慌ててしまった為、鍵を開ける事を忘れた。

ガチャガチャとドアノブを捻り、ようやく施錠されている事に気づいて鍵を解除。

外へと飛び出したのは、背後に迫ったゾンビの手がマリを捕まえる寸前だった。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

呼吸を乱し、裏庭から続く下り階段へと走る。

山手の教会の裏手からは瀬戸内海が臨める。

その下り階段を下りた場所にあるのは大きな道路。

それを道なりに進むと、四国へと繋がる榑大橋へと続いていた。

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