屍都市Ⅱ
本当にゾンビだ!

逃げながら、泣きじゃくりながら、マリはこの最悪の悪夢が夢ではない事を悟る。

夢ならそろそろ覚めてくれるのに。

私が本当に死んじゃう前に、牧師さんが起こしてくれるのに!

心臓がどうにかしそうなほど鼓動を繰り返す中、マリはようやく下り階段を降り切って道路に出た。

数十台の車が連なる大渋滞。

その渋滞の最後尾からも、ゾンビの群れが迫ってくるのが見えた。

ここもまた安全な場所ではない。

車で逃げるのを諦めたのか、多くの人々は車から降り、走って榑大橋を渡ろうとしていた。

マリもその列に続く。

警察や自衛隊の対応が遅れているのだろうか。

この橋には検問やバリケードは設置されていないようだった。

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