屍都市Ⅱ
早川 理子。

彼女があの『美原市大災禍』を生き延びた生存者の一人である事を知る者は少ない。

男はあの忌まわしい事件の前から理子と面識があった。

…対面に席に座り、コーヒーを注文。

話は、理子の方から切り出された。

「颯太さん…これ…」

彼女が取り出したのは、小さなノート。

頻繁にページを捲ったような汚れが残っている。

「……」

ノートを受け取り、男はペラペラとページを開いて見た。

「これが妹の遺した取材ノートか…」

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