屍都市Ⅱ
今時珍しい、道理のわかる大人。
若い者が道を誤った時は拳を振るってでも止め、正しい方向に導いてやる。
天坏はそんな一本筋の通った男だった。
無口で、たまに開いたと思ったら口の悪さが露呈する。
だが決して間違った事は言わない。
暴力も振るうが、一線は越えない。
あくまで教え導く為だけの拳。
典型的な頑固親父の匂いをさせる、天坏は『カッコいい大人』だった。
だが、この街はもう無法地帯と化している。
どんなに正しい事を説いて聞かせても、知能がないに等しい亡者達には通用しないのだ。
「くそったれ…くそったれ…!」
呪詛のように繰り返し繰り返し、彼は堅牢な塀に囲まれた敷地の中へと入っていく。
鉄格子で出来た門をよじ登った先は、日本であって日本ではない。
在日米軍基地。
荒くれ者の米軍兵士達が闊歩する、軍人達の領域だった。
若い者が道を誤った時は拳を振るってでも止め、正しい方向に導いてやる。
天坏はそんな一本筋の通った男だった。
無口で、たまに開いたと思ったら口の悪さが露呈する。
だが決して間違った事は言わない。
暴力も振るうが、一線は越えない。
あくまで教え導く為だけの拳。
典型的な頑固親父の匂いをさせる、天坏は『カッコいい大人』だった。
だが、この街はもう無法地帯と化している。
どんなに正しい事を説いて聞かせても、知能がないに等しい亡者達には通用しないのだ。
「くそったれ…くそったれ…!」
呪詛のように繰り返し繰り返し、彼は堅牢な塀に囲まれた敷地の中へと入っていく。
鉄格子で出来た門をよじ登った先は、日本であって日本ではない。
在日米軍基地。
荒くれ者の米軍兵士達が闊歩する、軍人達の領域だった。