屍都市Ⅱ
屈強で恐れ知らずの兵士達。

普段から怖いもの知らずで、自分達より強い者はいないと、酒場では大きな顔をしていた。

それがどうだ。

「……」

天坏は慎重に敷地内を歩く。

ここも市街地と同じ有り様だ。

軍用のジープが横転し、そこら中に血痕が飛び散っている。

建物の中に入ると、それは更に顕著だった。

壁に残るのは弾痕。

ここで激しい銃撃戦が行われた事を物語っている。

無数の薬莢が床に散らばっている。

その割にはゾンビの死体がない。

どうやら返り討ちに遭ったのは兵士達の方らしい。

その兵士達の死体さえないという事は…。

「デカイ口叩いてる癖によ」

毒舌を吐きながらも、天坏は青ざめた顔をしていた。

「兵隊ども…ゾンビに成り下がりやがったか…」

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