吸血鬼のオヒメサマ
☆煉斗side☆
何だ?今日は村の方が一段と騒がしい。
騒がしいのはいつものこと。だが俺たちはその原因が何かなのはあまり知らない。
まぁ、俺には関係ないからな。
…あ。
愁斗が帰ってきた。
愁斗は俺の双子の弟。
俺と違って愛想がいい。それに世間一般でいう優しい奴。
俺は無口でいつも無表情といわれる。
別にかまわない。血さえどうにかなればな。
「煉斗、ちょっと来て」
煉斗が帰ってきて、広間のソファに何かを寝かせて、俺を呼んだ。
「煉斗、この子さ…。屋敷の前にふらふら歩いてたんだけど、誰って聞かれたからどうしたのって聞こうとしたら倒れちゃって…」
「連れて帰って来たのか…?」
「うん。だってあのままじゃかわいそうだし、あの村の子みたいだし、怪我とかしてるし、手当てしてあげようかなって思って…」
「こいつ…もしかしてあの悪魔の子じゃないのか?」
「多分ね」
「にしても…蝙蝠に聞いたところ、14歳だろ?なのになんでこんなに小さくて細いんだ?」
そうだ…。こいつは年の割に小さいし、細くて色が白い。というか健康的には見えなかった。
悪魔の子、ということで碌に食ってないのか?
そう思うほど、小さくて儚く見えた。
「この子さ、あまってる部屋で寝かせててあげてもいいかな?」
「…俺は別にかまわない」
「じゃあこの子の世話は俺がするよ」
「そうしてくれ」
というか、俺が世話をしなきゃいけない要素はどこにもないからな。
別に置いとくくらいいいだろ。
どうせすぐに目は覚めるだろうしな。