吸血鬼のオヒメサマ


 ……おかしい。
 普通の人間なら眠ったとしても3日程度で起きるはずだ。
 なのにこいつは…

 
 どうして1週間も眠り続けたままなんだ?


 愁斗もいい加減おかしいと思い始めている。
 俺も極偶に様子を見に行っているが、1度も起きた形跡はなく、浅い呼吸だけが聞こえるほど静かな室内。
 
 


 …少しだけ、様子見に行ってみるか。




 自分の部屋を出て右に曲がって一番奥の部屋。
 そこがあの少女のいる部屋。
 少し小さな音を立てて部屋の中に入った。



 

 「起きてはいないか…」


 
 やはり1度も起きた形跡がない。
 それだけを見て、部屋を出ようとした時、丁度愁斗も入ってきて、
 もう1度ベットの横に座った。

 ただのきまぐれであいつの長い髪を撫でた。






 そしたら、



 『ん………』




 「!!愁!」

 「あ、この子…目が覚めた!」



 やっとか…。
 目が覚めても大きな黒い瞳には何も映ってはいない。
 不思議な奴だ…。




 『ど…こ…?』



 声さえもまともに出ていないし、まぁ、1週間何も食べていないからな。当然と言えば当然だな。





 「君、あの村の子、だよね?」


 愁が起きて少ししてから少女に問いかけた。



 こくん。



 1度だけ小さくうなずいた。



 「これ、食べれる?」




 愁が差し出したおかゆを受け取って、少しづつ、ほんの少しずつ食べ出した。

 その間俺と愁は少し話をした。







 
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