吸血鬼のオヒメサマ
☆希羅side☆
なんだろ…。頭がぼーっとしてる…。
そうだ…村を追放されて歩いてて…
大きなお屋敷の前で誰かに会って…
もしかしてここ…お屋敷の中なのかな?
意識はあるけど体が動かない。
誰かがあたしの寝ているベットに近づいて来たのはわかる…。
あれ…?出ていったと思ったら2人に増えてる気がする…。
なんか話してる…。
あ…
『ん…』
声…小さいけど出た…。
それにだんだん意識がはっきりしてきた…。
『ど…こ…?』
あたしは目の前にいる2人の男の人に声を振り絞って聞いた。
そしたら…
「君、あの村の子だよね?」
声が出なかったから一度だけこくん、とうなずいた。
すると、優しそうに微笑んでいる男の人があたしにおかゆを差し出した。
あたしはそれを遠慮がちに受け取って食べることにした。
あたしが食べ終わるまで2人はずっと何かを話してた。食べ終わってから、
あたしが今まで村人に言われてきた事が頭をよぎった。
『あたしと一緒にいると…不幸になるんじゃないですか…?』
気づくとあたしはそう口走っていた。
すると、優しそうな人は俺たちは人間じゃないって言った。
『森の…吸血鬼さん…?』
村でそう呼ばれていた事を思い出し、そう呼んだ。
そして、無表情の人が、呼ばれているならそうだ。といった。
あたしはその時やっと気が付いた。
きっと…いや絶対この2人にとってあたしがここにいる事は邪魔になると思った。
だからすぐに出ていくと言って、勢いよく立ちあがった。そしたらあたしの身体は斜めに傾いてこけかけた。
けど、無表情の人が支えてくれて、2人は大丈夫といって、ここにいればいいと言ってくれた。