HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■その後

Heavenly…天国のような。

白い階段を上れば、そこに天国のような空間が広がっていた。
恭平はそんな意味で新しい名前をつけた。


『あー… もうテスト週間だよー…』

そして私は今日も天国のようなこの場所に来ている。

「普段からちゃんとしてれば困る事なんてないのよ?」

愛里はそう言って、私の前をスタスタと横切った。

確かにそうなんだけどさー…

『誰か頭の良い人が教えてくれないかなー…』

遠回しにそう言うと、恭平はカウンターの奥で苦笑した。

『店も立ち上げたばっかだし… まだ事情徴収もあんだよねー。』
『そ、そっか…』

そうなのだ。
恭平はまだ警察署へ通わなければならない。

証拠を隠していた事や、当時の警察の捜査に非協力的だった理由。
その他いろいろを話さなければならない。

恭平が手紙に書いていた「しばらく帰れないかも」というのは、その事だったらしい。

とにかく忙しいので、今回のテストは自力で頑張らなくてはならない。
もう追試覚悟でいる。

『ま、いっかー。 追試で頑張れば!』

そんな楽天的にいると、周りの反応がシンと静まり返った。

『な、何?』

私、まずい事言った?

「カンナ… マリアはカンナが卒業したら、結婚して一緒にHeavenlyで働きたいそうよ?」
『…えぇ?!』

け、結婚?!

「でも残念ね。 きっとカンナは卒業が人より1、2年遅れるもの…」
『な…ッ』
「人の気持ちなんて1、2年で変わるものよ? ここのお客さんも綺麗な人ばかりだし。」

はぁーと長い溜め息をつく愛里。
そ、そんな〜!!

『きょ、恭平ッ 恭平はそんな簡単に心変わりしないよね?!』

カウンターで開店準備をする恭平にそう問い掛けると、恭平はニッコリと笑った。

『さぁ? とりあえず高校生に手出すのは忍びないかな?』

笑顔とは裏腹に厳しい言葉。
思わず涙が滲んでしまった。

何としても無事に進級しなきゃ!!
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