HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■時間の違い
「カンナッ 私、彼氏できちゃったの!」
ある日の昼休み。
友達の茜から嬉しそうに報告された。
『おめでとう! 幸せにねっ!』
「うん!」
幸せそうなその顔…
何だか少し不思議だった。
彼氏って…
いたらどんな気分なんだろう…
私は彼氏なんていた事もないし、好きな人だっていない。
デートやキス…
その先…
気にはなるけど、知りようがない…
『キスってどんな感じだろぉ〜…』
学校が終わるとHEAVENへ直行。
それはほぼ毎日の日課になっていた。
ストレス解消にカラオケ行ったりする感覚と同じ事だと思う。
『あー… カンナって処女なんだ?』
『しょ…ッ?!』
いくら私でも意味くらい解るから、そんな平然と聞かれたら戸惑う。
『だって…好きな人とがいいもん…』
『可愛いねー、そう言われると奪いたくなっちゃう。』
『…』
どんなつもりなのか、恭平は無表情で冗談ともとれる言葉を吐く。
というか、恭平はした事あるんだ…
『初めては好きな人としたいけど… 早く終わらせたいってのもあるかなぁ…』
ここは不思議な世界…
人より遅いのも、早いのも敬遠される。
皆と同じじゃなきゃ駄目なんだ。
『俺、仲間うちで1番早かったから遠巻きにされたなぁ… 6年も前の懐かしい話だけど。』
恭平はそう言うと、他のお客さんがいないのをいい事にカウンターに座る。
『6年って… 恭平っていくつなの?』
『にじゅーいち。』
『21?! 嘘?!』
『ホント。 見えなかった?』
み、見えなくはないけど…
改めて世界の違いを感じる。
『じゃあ5つも違うんだねぇ…』
何だか少し寂しいな…