HEAVEN -天国の階段- (全106話)

■目が覚めると

『んー…』

瞼(マブタ)の向こうが何だか眩しくて…
まだ自由の聞かない体を反転させ、眩しさから逃れる。

すると、暖かくて…
でも決して柔らかくない壁に突き当たった。

『カンナ… 髪くすぐったい…』
『あ…ごめん…』

咄嗟に壁から聞こえた声に返答してしまう。
…って壁が話すなんて事…

『………きょッ 恭平?!!!』

昨晩の酔いも眠気も覚める光景。
小さなベッドの上、私の隣にはまだ寝息をたてる恭平がいた。

壁だと思ったのは、恭平の胸元…
しかもパジャマのボタンは全開…

引き締まった男の人の体を嫌でも見せつけられる。

『…はよぉ… 朝っぱらから元気だねー…』

私の声が大きかったせいか、不機嫌そうに体を起こす恭平。

『わ、私は?! 私は服着てる?!』

まさか酔った勢いで初体験…なんて事ないよね?!

急いで布団をめくり確認する。
するとセーラー服とスカートの下にパジャマのズボンという奇妙な格好が見えた。

『寝相悪すぎ。 蹴るし、足は開くし…』
『…って事は…』
『俺が見るに見かねて下だけパジャマ着せたって事。』

どっちにしろ見られたのね〜?!

『お嫁にいけない…』

あまりの恥ずかしさに膝を抱えて顔を伏せる。
すると隣からケラケラと笑い声が聞こえた。

くそッ 馬鹿にしやがって…

《ぐ〜…》

…恭平の小さな笑い声に重なり、音を出したのは私のお腹…

『ねぇ、カンナ『き、気のせいだから!』

なんて恥ずかしいの?!
パンツ見せて腹の音(ネ)聞かせて…

度重なる恥に気を落としていると、恭平がスッと立ち上がり上着を脱いだ。

『…恭平…?』
『何か食べにいこっか。着替えてくるよ。』

決して笑いのネタにしない。
そんな気遣いが素直に嬉しかった。
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