HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■素顔
目を開けると…
そこには目を疑うような光景がありました…
「はいッ 完成!」
ユカさんとマイさんは声を合わせ、男の子に作品を御披露する。
クリックリに巻かれた髪に、キラキラメイク…
慣れない事に私は違和感を感じた。
「姫系にまとめてみました♪ マリア、こーいうの好きっしょ?」
『何その自信! ちなみに俺、女ならとりあえずokよ?』
少し酔っているのか恭平はそう言いながら意地悪に笑った。
またまた珍しー…
恭平が子供みたいに笑ってる。
素の恭平を見たようで、何だか少し嬉しくなった。
「カンナちゃん何飲むー? 酎ハイ? ビール? それとも俺の精え…―」
1人の男の子が冗談まじりにそう言いかけた時、ユカさんが彼の口を塞いだ。
「馬鹿言うんじゃないの! トラウマになったらどうすんの?!」
「悪ー、つい口癖のように… 」
あんなのが本当に口癖だとしたら、人格を疑ってしまう。
きっと大量のアルコールによる発言なんだろうな…
そう思うと共に何だか少し面白くなってきた。
この中なら私も素顔になれる…
そんな気すらした。
「ねぇっ せっかくメイクしたんだし、すぐ前のゲーセンでプリ撮ってこよ♪」
マイさんはにこぉと可愛い笑みを見せ、窓の外を指差す。
『え? プリクラ…?』
私、高校の友達ともまだ撮った事もないのに…
こんな知り合ったばかりで…?
居酒屋を出て、すぐ向かいにあるゲームセンターは男子禁制。
よくあるプリクラ目的の為のゲーセンだ。
プリクラって「仲良し」とか「大好き」とか、とりあえず書いておくものだよね。
皆、そうだし…
だからこの2人もそう書くんだと思ってた。
知り合ったばかりなのに「仲良し」って…
「はい! カンナちゃんの分!」
だけど手渡されたプリクラには、そんな言葉は一切なかった。
【今日は楽しかったよ☆】
【また誘っていい?】
そんなメッセージのような言葉がいくつか書いてあった。
2人からメールを貰ったような…
そんな気分…
私も返事書けば良かったかな…?