HEAVEN -天国の階段- (全106話)

■魔法の手

《キーンコーンカーンコーン》

朝の部活動が終わるチャイム…
何とか遅刻を免れ、教室に入れた。

「おはよー、カンナ!」

そう挨拶しながら目の前の席に来たのは茜。
続いて友利が傍に来た。



「ねー、4組の小林ってどう思う?」
『小林…? 何で?』

友利の質問に少し戸惑いながら尋ねる。

「アドレス聞かれちゃってー… 今度、遊ぼうってさぁ…」

…アドレスね…
私も聞かれたよ。

教えなかったけど…

「それって友利、狙われてんじゃん?!」

茜はそう言って友利の顔を指差す。

『…友利だけじゃ…ないと思う…』

実際、私も聞かれたし…
他にも聞かれた子がいると思う。

『小林って軽いって噂だし… 簡単に会わない方がいいと思う…』

でも何て説明したらいいんだろう…
気のきいた言葉、浮かばない。

「…カンナってさー… もしかして小林が好き?」
『え…?』
「だって妙に必死なんだもん…」

違うよ…
何でそうなるの?

私は友利が……







「馬っ鹿ねー、あんたは言葉が足りないのよ。」

…本日もHEAVENで人生相談…
愛里は相変わらず答えが厳しい。

『愛里、人の性格ってのがあるだろう?』

そしていつものように愛里をフォローする恭平。

HEAVENと言う名だけあって、ここは居心地がいい…

『カンナも、少し説明不足かも知れないね。』
『説明…不足?』
『友達を止めたのは何で?』

それは…

『友利が…心配だったから…』
『じゃあそれを本人に言わなきゃ。 心配されて不快になる人なんていないんだから…』

恭平は優しく笑うと私の髪を撫でた。

大きくて華奢な手が持つ熱は人の心も温かくしてくれる。

私は恭平の手がすごく好きだ…
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