HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■初めてのお誘い
○Side MARIA

『合コン?』
『うん、学校の友達となんだけどね。 初めて誘われちゃって…』

カンナはモジモジと恥ずかしそうに話す。

こりゃ驚いた。
この間まで「誘われない」って嘆いてたのに…

『んでね、明日なんだけど何着てったらいいかな?』
『って、行くんだ。』
『…遊びに誘われたの初めてで… 駄目?』

遊び…って言うのかな、それ…

『別に俺には関係ないけど、気をつけてね?』

調度、お客さんが入ってきた事もあって俺はカンナの前から立ち去った。


『何にします?』
「適当に頼めるかな… あまり甘くないもので。」

カンナがどんな顔で…
どんな想いで「駄目?」と聞いたかも知らずに…






「合コン?!」

閉店後、たんなる世間話のつもりで愛里に教えた。
すると愛里は驚きのあまり、シンクにグラスを落としてしまう。

「あの子、大丈夫なの?! ちゃんと断ったり出来るのかしら。」

カンナに敵意剥き出しだったのが嘘のよう…
いつの間にか愛里が姉のようになってる。

『子供じゃないんだから平気でしょ… それにたかが高校生の合コン…』

…どっちかって言うと母親か…

「何言ってんのよ! マリアなんかカンナぐらいの歳で童貞捨ててるじゃない! 子供じゃないのよ?!」
『童貞て、あんた…』

愛里の発言はたまに男に戻る。
これで「女だ」と言い張るんだから、たまったもんじゃないよ…

「明日、カンナの様子見にいくわよ! 心配でそれどころじゃないもの。」

愛里はキッと睨むと、怒りを表すかのように乱暴にグラスを洗う。
そんな愛里につい溜め息が出てしまう。

『わぁった、頼むから仕事してくれ… 俺が行くから…』

一応、愛里には高い月給を払ってるんだから…
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