HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■予期せぬ客人
○Side MARIA
「ありがとうございましたー!」
HEAVEN、開店前に花屋で花を買い…
公園前に足を運ぶ。
それはもう日課になっていた。
ご飯を食べる事よりも当たり前に…
『早く見つかるといいねー…犯人…』
あの事件から2年以上…
事件の進展は未だ無い。
紗羅は…
紗羅はまだ浮かばれないのだろうか…
『おじゃましますー…』
午後、4時半。
勉強を教わりにカンナが家へやってくる。
しかしその後ろには見慣れない女子高生が2人…
『ごめんね… 恭平の事話したら、どうしても見たいって…』
どうやらカンナの友達らしく、こちらを物珍しそうに見ていた。
『…とりあえず上がったら?』
一人暮らしの男の部屋に女子高生3人…
隣人が見たら不振に思うだろう。
「5つも上なんですねー!」
「自分のお店があるって凄いですよね!」
勉強をしにきたはずの2人は喋りっぱなしで教科書も開かない。
カンナに慣れているからか…
女子高生という存在が急に重く感じた。
「今度、皆で遊びに行きましょうよ!」
『うん、今度ねー…』
だからといって粗末に扱えないし…
早く帰ってくんないかな…
しばらく話した後、2人の隙をついてキッチンへ逃亡。
ようやく落ち着きを取り戻し煙草を口にくわえた。
『恭平…』
そこにカンナがやってくる。
ほら…
やっぱりカンナは苦にならない…
『ごめんね… せっかく時間割いてくれてるのに、迷惑だよね…』
『…別に…』
窓の隙間から煙草の煙が逃げていく。
カンナも俺もそれを静かに見送った。
『カンナの友達だろ? 1日くらい我慢するさ。』
『うん… 友達…』
「友達」と言ったカンナの表情…
それがあまりに嬉しそうで、俺は何も言えなくなってしまった…