HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■禁忌
○Side MARIA
『送ってくれてありがとう!』
カンナは笑顔でそう言うと、背中を向け校門に入っていく。
俺はそんなカンナを見送りながら、まだ残る唇の感触を確かめるよう親指で撫でた。
紗羅を失ってからは1人でいる事が嫌いになった。
1人でいると嫌な事ばかりが頭に浮かぶ…
それに堪えられなくて、誰かを抱いた…
馬鹿だと思うだろう?
だけどそうしなければ生きていけなかった…
でも…
キスは…紗羅以外になかった…
「いらっしゃいま…あ、マリアくん!」
いつもの花屋のおじさんは満面の笑みを見せる。
「今日は可愛い花が入ってるよ! 紗羅ちゃんの好きそうな…」
そう言って指差したのは細かな黄色の花…
かすみ草によく似てる。
『…今日は多めに束作ってくれる?』
「ん? 何かやましい事でもあるのかい?」
『ま、ちょっとね。』
やましい事なんて数え切れない程にある。
初めて紗羅以外の人を抱いた時…
HEAVENをバーに改装した時…
言い出したらきりがない。
『流石に今回は…ね…』
今回ばかりは罪悪感があるよ。
俺は思ってはいけない事を思ってしまったから…
俺は紗羅の一生を駄目にした。
それどころか紗羅の中の小さな命まで……
そんな俺が人を「愛しい」などと思っていいはずがない。
俺は思ってはいけない事を思ってしまった…
○Side MARIA
『送ってくれてありがとう!』
カンナは笑顔でそう言うと、背中を向け校門に入っていく。
俺はそんなカンナを見送りながら、まだ残る唇の感触を確かめるよう親指で撫でた。
紗羅を失ってからは1人でいる事が嫌いになった。
1人でいると嫌な事ばかりが頭に浮かぶ…
それに堪えられなくて、誰かを抱いた…
馬鹿だと思うだろう?
だけどそうしなければ生きていけなかった…
でも…
キスは…紗羅以外になかった…
「いらっしゃいま…あ、マリアくん!」
いつもの花屋のおじさんは満面の笑みを見せる。
「今日は可愛い花が入ってるよ! 紗羅ちゃんの好きそうな…」
そう言って指差したのは細かな黄色の花…
かすみ草によく似てる。
『…今日は多めに束作ってくれる?』
「ん? 何かやましい事でもあるのかい?」
『ま、ちょっとね。』
やましい事なんて数え切れない程にある。
初めて紗羅以外の人を抱いた時…
HEAVENをバーに改装した時…
言い出したらきりがない。
『流石に今回は…ね…』
今回ばかりは罪悪感があるよ。
俺は思ってはいけない事を思ってしまったから…
俺は紗羅の一生を駄目にした。
それどころか紗羅の中の小さな命まで……
そんな俺が人を「愛しい」などと思っていいはずがない。
俺は思ってはいけない事を思ってしまった…