HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■マリア

目を見張るほど真っ白な階段…
その上には白と空色が基調の建物。

【HEAVEN】

そう書かれた看板…
店の名前を表すのだろうか…

って…
ここ何処?

夢中で走りすぎて、辺りは知らない景色ばかり。
頼りの(?)伊藤くんは振り切ってきちゃったみたいだし…


「あっら〜、可愛い女の子っ! うちにご用かしら?」

建物の前に立ち尽くしていると突然、優しげな声がした。

『あ、あのッ 道に迷っちゃ………オカマぁ!!?!』

「助かった」
その安心を打ち砕くように、優しい声の持ち主はフフッと笑う。

「まだまだ修行が足りないわね、私が男に見えるなんて…」
『だッ だって喉仏ッ…』
「それでも女なのよ!!」

そ、それって心だけでしょ〜?!

突然の事に戸惑っていると、後ろの建物の扉がキィと開いた。

『愛里、もう少し静かに出来ないか?』

そして中からは不機嫌そうに男の人が出てくる。

「だってマリアッ その子ったら私の事、男だって言うのよ?!」

マリア…
そう呼ばれるに相応しいくらい、浮世離れした顔立ちに目が離せなくなる…

『…HEAVEN(ヘブン)へようこそ…』
『HEAVEN…』

優しく微笑むその顔は、隣のオカマよりも女らしく妖艶で複雑な気分になる。

「それよりマリア、いつになったら私と付き合ってくれるのよぉ!」

オカマ…いや、愛里はそう言うとマリアの腕にしがみつく。

ってかね…
マリアより愛里のがガタイ良いのが気になる…

『仕方ないなぁ… 1度くらい相手しようか?』
「本当?!」
『ただし、俺を惚れさせれたらね?』

マリアはニッと意地悪に笑うと、さりげなく腕を振り払う。

何だか不思議な2人…
って、そんな事より…

『あの、私の家って何処ですか?』

私は家に帰りたいのよ…
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