HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■家族

「紗羅」
それは愛里の親友の名前。
初めて愛里を受け入れた女性…

『…どうしてカンナが紗羅を…』

恭平は驚いて目を丸くする。

いや、聞きたいのは私だ。
恭平と愛里と紗羅さん。
3人は一体…

『…愛里の親友だって聞いた。』
『そっか… 仲良かったからね、愛里と…』

恭平はそう言うと少し悲しげに笑う。

『恭平は? 恭平とは仲良かった?』

こんな質問、亡くなった人に失礼だって解ってる。
解ってるけど聞かずにはいれなかった。

そんな私に失笑してみせる恭平。

『仲良かったのかな、悪かったのかな。 よく解んないや…』
『じゃあ仲良かったんだよ、きっと…』
『かもね。 俺達3人は家族みたいなものだったから。 紗羅も家庭が複雑だったし…』

家族…
HEAVENのマスターである恭平。
性体の不一致に悩みHEAVENに来た愛里。
同じようにHEAVENで過ごした紗羅さん。

3人の様子が目に浮かぶ。

『悔しいな…』
『うん?』
『…何もない。』

愛里の涙や恭平の悲しげな笑み。
それを見れば彼女がどれだけ必要とされていたかが解る。

私なんかより、ずっと…

『実は愛里が女の子とこんなに話すの久しぶりなんだよね。 紗羅以来かな?』
『え?』
『あいつカンナが好きだって言ってたから。 2人目の親友だって…』

愛里がそんな事…

『それ…本当に…?』
『本当だよ。 カンナが現れた事でHEAVENは少し変わった。』

それが良い意味か悪い意味か…
恭平は優しい笑みを見せ言った。

私もね、恭平と愛里に会ってからすごく楽しいよ?
本当に…すごく…

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