HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■悪夢
夢を見た。
恭平が私の目の前で息絶える夢…
必死に助けようと傷口を押さえても、真っ赤な血液は流れ出るばかり。
止まる気配がない。
同じように涙も止まらなくて、息苦しかった。
毎日、手向けられた花…
その理由がやっと解った。
助けられなかった彼女への償いと愛情…
決して忘れないという強い意志の表れだったんだろう。
『……恭平…?』
眩しさに目を覚まし、辺りを見回す。
そこに恭平の姿はなかった。
昨晩まで恭平が眠っていた場所には鍵が…
微かに香る食べ物の匂いにつられ、キッチンへ行くとご丁寧に朝食が用意されていた。
ベーコンエッグとポテトサラダ。
隣にはまだ袋に入った生の食パン。
『…なんだ… 自分で作れるんじゃん…』
料理なんて出来ないと思ってたから昨日、私が作ったのに…
何だか恥さらししただけだったな…
朝食を済ませ、ソファーに座る。
今朝の夢のせいか、1人がすごく寂しく感じる。
真っ赤な血の海にいた恭平…
あれはただの夢?
それとも……
『いらっしゃーい、まだ準備中なのぉ。』
不安を胸に抱きながらHEAVENの扉を開ける。
中では愛里がいつも通り掃除に励んでいた。
『愛里、恭平は?』
『マリアなら今さっき出掛けたけど… 消耗品の買い出しじゃないかしら。』
よかった…
無事だったんだ。
『そうだよね… たかが夢だもん。』
『ん? 何の事?』
『何でもない! 恭平はいつ帰るかな?』
『そうね、昼間はいつもいないから… 次来るのは開店の少し前ね。』
「本当、あの子ったら」
愛里はそう言って溜め息をつく。
何だかお母さんみたい。
『じゃあ私も夕方来るね! あ、これ恭平に渡しておいて。』
私はそう言って笑みを見せるとカウンターへ預かった鍵を置いた。
夢を見た。
恭平が私の目の前で息絶える夢…
必死に助けようと傷口を押さえても、真っ赤な血液は流れ出るばかり。
止まる気配がない。
同じように涙も止まらなくて、息苦しかった。
毎日、手向けられた花…
その理由がやっと解った。
助けられなかった彼女への償いと愛情…
決して忘れないという強い意志の表れだったんだろう。
『……恭平…?』
眩しさに目を覚まし、辺りを見回す。
そこに恭平の姿はなかった。
昨晩まで恭平が眠っていた場所には鍵が…
微かに香る食べ物の匂いにつられ、キッチンへ行くとご丁寧に朝食が用意されていた。
ベーコンエッグとポテトサラダ。
隣にはまだ袋に入った生の食パン。
『…なんだ… 自分で作れるんじゃん…』
料理なんて出来ないと思ってたから昨日、私が作ったのに…
何だか恥さらししただけだったな…
朝食を済ませ、ソファーに座る。
今朝の夢のせいか、1人がすごく寂しく感じる。
真っ赤な血の海にいた恭平…
あれはただの夢?
それとも……
『いらっしゃーい、まだ準備中なのぉ。』
不安を胸に抱きながらHEAVENの扉を開ける。
中では愛里がいつも通り掃除に励んでいた。
『愛里、恭平は?』
『マリアなら今さっき出掛けたけど… 消耗品の買い出しじゃないかしら。』
よかった…
無事だったんだ。
『そうだよね… たかが夢だもん。』
『ん? 何の事?』
『何でもない! 恭平はいつ帰るかな?』
『そうね、昼間はいつもいないから… 次来るのは開店の少し前ね。』
「本当、あの子ったら」
愛里はそう言って溜め息をつく。
何だかお母さんみたい。
『じゃあ私も夕方来るね! あ、これ恭平に渡しておいて。』
私はそう言って笑みを見せるとカウンターへ預かった鍵を置いた。