HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■代わり?

【飽きちゃった】

何の戸惑いも見せず、恭平はそう言い放った。

信じられない。
信じない。

信じたく…ない…

恭平がいたから、毎日が楽しくなった。
変わらない日常が少し変わった。

恭平がいなきゃ駄目なのに…


「ここで大丈夫かしら、ちゃんと帰れる?」

いつも恭平が送ってくれる帰り道、今日は愛里が送ってくれた。

『…ありがとう…』
「どういたしまして。 あのね、マリアの事は気にしないで?」
『…』
「元々が気まぐれなのよ、あの子…」

気まぐれ…?
そんなんで片付く気持ちじゃない。

昨日までいつもの恭平だったんだ。
優しい恭平だった。

それなのに…

「ねぇカンナ… マリアの事で私達の仲まで壊れないわよね…?」

愛里は不安げに言うと小さな笑みを見せた。

HEAVENがあったから愛里と友達になれた。
でも私は…

『私はもう…HEAVENに行けない…ッ』

あそこは恭平の居場所だ。
もう私は入れない。

「HEAVENじゃなくても外でも会えるじゃない。 カンナが嫌なら男らしい格好するわ。」

必死になって私を説得する愛里。
どうして?

『…紗羅さんの代わり?』

紗羅さんに似てるから失いたくないの?

「私…ッ 私はマリアと違う!!」
『…え…?』

今、愛里は何て言ったの?

【マリアと違う】
一体、どういう事?

『あ、愛里… 今の…』
「…何もないの、ごめんなさい…」

愛里はごまかすように笑うと背中を向け、去っていった。

【紗羅さんの代わり】
【マリアと違う】

あの言葉は一体…
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