HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■白昼夢

【男の子なんだって。 名前は何にしようか…】

ここは…何処だろう?
緑が繁(シゲ)り、近くに錆(サ)びたブランコが見える。

【名前っつっても、まだ当分の話だろ?】

そうか。
ここはあの公園だ。

【当分じゃないわよ。 あと4ヶ月もないもの。】

それじゃ目の前にいるこの女の人は一体…
それに微かに聞こえる誰かの足音。

どんどん、どんどん近づいてくる。

【貴方が決めていいのよ? 男の子なんだから…】

コツコツと、靴底の音。
スニーカーじゃない。
革靴…?

【そうだなぁ、じゃあ………】

そう言ったと同時だろうか。
彼の肩に鋭い痛みが走ったのは…

【大丈夫?! ねぇッ 大丈夫なの?!】
【俺はいいからッ 逃げろ!!】

痛みに歪む目で見たのは中年の男。
苦しむ姿を見て小さく笑う。

肩が脈打つ度、赤い血液が腕を通り地面を染めた。

そして標的は変わる。
より、弱い者へ……

【お願いだ…ッ そいつだけは… 俺なら死んでいいからッ!!】

……願いは届かず……







【…私の事、忘れていいからね…?】








『…夢…?』

気がつくと自分のベッドの上。
窓の外は闇。

ふと思い出したのは恭平の言葉。
【真実だと思った?】

そうだ。
あのまま泣き疲れ寝てしまったんだ。

それにしても今の夢…
あれはきっと、あの事件の夢だ。

この間のテレビの影響?
それとも現実?

…気になって眠れない…
< 74 / 107 >

この作品をシェア

pagetop