HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■見えない真実
今思えば恭平がおかしくなったのは、あの番組からだった。
あれを見るまでは優しい恭平だったんだ。
私にバレそうだから?
バレたら捕まってしまうから?
だから突き放したの?
『嫌… 嫌だよ…』
そんなの嫌だよ…
どれだけ時間が経っただろう。
1時間、2時間…
もしかしたらそれほど経ってないかも知れない。
我に返ったのは、玄関が開く音でだった。
『…カンナ…』
恭平は目を丸くして私の名を零す。
まさかいるとは思わなかったんだろう。
『恭平… 教えて?』
ましてやネックレスを見られるなんて…
思ってもみなかっただろう…
『真実を。 あの公園で何があったかを…』
私はきっと「俺には関係ないよ」という答えが欲しかった。
安心したかった。
ただそれだけで良かったんだ。
『人の過去ほじくり返して何が愉(タノ)しい?』
でも返ってきたのは恭平の冷たい言葉と、冷ややかな視線。
『…愉しいわけじゃ… ただ…』
ようやく気付いた。
自分のした事の重さに。
不法侵入、プライバシーの侵害…
誰にだって知られたくない事はあるのに。
でも最後に1つだけ知りたい。
恭平の無実を。
『1つだけ…教えて。』
私は立ち上がり、恭平に歩み寄った。
久しぶりに目の前に立つせいか、恭平がすごく大きく感じた。
『…犯人…なんかじゃないよね? 恭平は違うよね…?』
そう質問した私の頬に恭平の手が触れる。
生暖かくて大きい手…
『…だったら何?』
その手と言葉に体が凍り付く。
『恭…平…?』
『そんなの知ってどうすんの? 警察にでも行くつもり?』
真実が…見えない。
今思えば恭平がおかしくなったのは、あの番組からだった。
あれを見るまでは優しい恭平だったんだ。
私にバレそうだから?
バレたら捕まってしまうから?
だから突き放したの?
『嫌… 嫌だよ…』
そんなの嫌だよ…
どれだけ時間が経っただろう。
1時間、2時間…
もしかしたらそれほど経ってないかも知れない。
我に返ったのは、玄関が開く音でだった。
『…カンナ…』
恭平は目を丸くして私の名を零す。
まさかいるとは思わなかったんだろう。
『恭平… 教えて?』
ましてやネックレスを見られるなんて…
思ってもみなかっただろう…
『真実を。 あの公園で何があったかを…』
私はきっと「俺には関係ないよ」という答えが欲しかった。
安心したかった。
ただそれだけで良かったんだ。
『人の過去ほじくり返して何が愉(タノ)しい?』
でも返ってきたのは恭平の冷たい言葉と、冷ややかな視線。
『…愉しいわけじゃ… ただ…』
ようやく気付いた。
自分のした事の重さに。
不法侵入、プライバシーの侵害…
誰にだって知られたくない事はあるのに。
でも最後に1つだけ知りたい。
恭平の無実を。
『1つだけ…教えて。』
私は立ち上がり、恭平に歩み寄った。
久しぶりに目の前に立つせいか、恭平がすごく大きく感じた。
『…犯人…なんかじゃないよね? 恭平は違うよね…?』
そう質問した私の頬に恭平の手が触れる。
生暖かくて大きい手…
『…だったら何?』
その手と言葉に体が凍り付く。
『恭…平…?』
『そんなの知ってどうすんの? 警察にでも行くつもり?』
真実が…見えない。