HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■永遠に続くはずが
【いらっしゃいませ。 HEAVENにようこそ】
HEAVENへ続く階段を、人は「天国の階段」と言った。
誰が言い出したかは解らない。
もしかしたら紗羅に好意を抱いた男性かも知れない。
だって紗羅は本当の天使のように優しく、綺麗だったから…
彼女の華奢な肩甲骨に真っ白な羽根が生えていても可笑しくないくらい…
あれはいつの事だっただろう。
【愛里… 赤ちゃんって可愛いかな?】
閉店後の片付けをしていた愛里に紗羅は突然の質問を投げかけた。
【私ね、お腹に恭平との赤ちゃんがいるみたいなの】
紗羅にとっても突然の事。
実感のないまま、子供はスクスクと育っていた。
【マリアは? 産んでいいって言ってた?】
2人はまだ二十歳に満たない少年少女。
まだ荷が重すぎるのでは…
【うん。 お腹が大きくなる前に式を挙げようって…】
そんな愛里の心配をよそに、2人の決意は固かった。
そしてしばらくして2人は籍を入れ、小さな教会で最小限の式が執り行われた。
愛する2人と小さな命…
そして親友の愛里。
4入の幸せは永遠に続くはずだった。
あの日、あそこに行かなければ…
あの時、あそこを歩かなければ…
あの日が来なければ…
後悔は数え切れない程ある。
【愛里… 本当にお留守番でいいの?】
【いいのよ。 ベビー用品くらい2人でゆっくり見てきなさい!】
あの日、紗羅は愛里に留守番を頼みHEAVENを出た。
胎児の性別が男の子だと判ったのが嬉しかったのか、少し気の早いお買い物へ…
【お土産、美味しいケーキ買ってくるからね!】
眩しいばかりの笑顔。
帰りを待ち遠しくさせる言葉。
【いってらっしゃい】
それが生きた紗羅を見た最後だった…
【いらっしゃいませ。 HEAVENにようこそ】
HEAVENへ続く階段を、人は「天国の階段」と言った。
誰が言い出したかは解らない。
もしかしたら紗羅に好意を抱いた男性かも知れない。
だって紗羅は本当の天使のように優しく、綺麗だったから…
彼女の華奢な肩甲骨に真っ白な羽根が生えていても可笑しくないくらい…
あれはいつの事だっただろう。
【愛里… 赤ちゃんって可愛いかな?】
閉店後の片付けをしていた愛里に紗羅は突然の質問を投げかけた。
【私ね、お腹に恭平との赤ちゃんがいるみたいなの】
紗羅にとっても突然の事。
実感のないまま、子供はスクスクと育っていた。
【マリアは? 産んでいいって言ってた?】
2人はまだ二十歳に満たない少年少女。
まだ荷が重すぎるのでは…
【うん。 お腹が大きくなる前に式を挙げようって…】
そんな愛里の心配をよそに、2人の決意は固かった。
そしてしばらくして2人は籍を入れ、小さな教会で最小限の式が執り行われた。
愛する2人と小さな命…
そして親友の愛里。
4入の幸せは永遠に続くはずだった。
あの日、あそこに行かなければ…
あの時、あそこを歩かなければ…
あの日が来なければ…
後悔は数え切れない程ある。
【愛里… 本当にお留守番でいいの?】
【いいのよ。 ベビー用品くらい2人でゆっくり見てきなさい!】
あの日、紗羅は愛里に留守番を頼みHEAVENを出た。
胎児の性別が男の子だと判ったのが嬉しかったのか、少し気の早いお買い物へ…
【お土産、美味しいケーキ買ってくるからね!】
眩しいばかりの笑顔。
帰りを待ち遠しくさせる言葉。
【いってらっしゃい】
それが生きた紗羅を見た最後だった…