HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■自分の手で
風は穏やか。
恭平の表情からも鋭さは消えていた。
『愛里から聞いた。 カンナに全部話したって…』
恭平は立ち上がると背を向け歩き出す。
『余計な事だったよね…』
私も置いていかれないように、早足で追い掛けた。
景色は流れ、現場から遠ざかる。
そのうちに公園の池に突き当たった。
恭平の足はそこで立ち止まり、振り返る。
その行動に妙な悪寒が走った。
『後を…追ったりなんかしないよね…?』
紗羅さんを追って、恭平がいなくなる。
私が1番心配しているのは、まさにそれだった。
『まさか。 だったら退院してすぐにやってるよ。』
そんな私の言葉を鼻で笑う恭平。
『でも、考えなかったわけじゃないけどねー…』
笑顔が一瞬、曇る。
どんな気持ちで2年間生きてきたのか…
私には想像も出来ない。
辛いとか悲しいとか。
そんな言葉では到底、表せないんだろう。
『私…恭平が好き…』
私はそんな想いしたくない。
恭平を失いたくない。
『恭平が私を嫌いでも、私は恭平が好きなの…ッ 生きててほしいのッ!』
そう声を上げた瞬間、目の前の風が止んだ。
そして、唇には温かく柔らかい感触が…
…キ…ス?
『な、なん…ッ』
『俺も…好きだよ?』
いつも恭平が着けてる香水がふと香る。
『でも、他の奴探して?』
『え…?』
それって一体…
『俺はこの手で、あいつを裁(サバ)きたい。』
甘さの少ない鋭い香り…
妙に鼻についた。
風は穏やか。
恭平の表情からも鋭さは消えていた。
『愛里から聞いた。 カンナに全部話したって…』
恭平は立ち上がると背を向け歩き出す。
『余計な事だったよね…』
私も置いていかれないように、早足で追い掛けた。
景色は流れ、現場から遠ざかる。
そのうちに公園の池に突き当たった。
恭平の足はそこで立ち止まり、振り返る。
その行動に妙な悪寒が走った。
『後を…追ったりなんかしないよね…?』
紗羅さんを追って、恭平がいなくなる。
私が1番心配しているのは、まさにそれだった。
『まさか。 だったら退院してすぐにやってるよ。』
そんな私の言葉を鼻で笑う恭平。
『でも、考えなかったわけじゃないけどねー…』
笑顔が一瞬、曇る。
どんな気持ちで2年間生きてきたのか…
私には想像も出来ない。
辛いとか悲しいとか。
そんな言葉では到底、表せないんだろう。
『私…恭平が好き…』
私はそんな想いしたくない。
恭平を失いたくない。
『恭平が私を嫌いでも、私は恭平が好きなの…ッ 生きててほしいのッ!』
そう声を上げた瞬間、目の前の風が止んだ。
そして、唇には温かく柔らかい感触が…
…キ…ス?
『な、なん…ッ』
『俺も…好きだよ?』
いつも恭平が着けてる香水がふと香る。
『でも、他の奴探して?』
『え…?』
それって一体…
『俺はこの手で、あいつを裁(サバ)きたい。』
甘さの少ない鋭い香り…
妙に鼻についた。