HEAVEN -天国の階段- (全106話)
■止まらない
とどまる事なく流れる涙は、誰のモノだろう。
私か紗羅さんか…
もしかしたら両方かも知れない。
【紗羅さんと喋った】
そう言った私に対し、恭平は悲しげな笑みを向ける。
『俺も今…喋った…』
『…え…?』
『多分、紗羅だったと思う。』
恭平はそう言うと部屋の扉を開けて中へ入る。
扉は恭平が入った後も、閉められる事なく開いていた。
入って…いいの…?
しばらく待ってみても扉が閉まる様子はない。
私は戸惑いながらも足を踏み入れてみた。
『「忘れていいよ」ってね、紗羅の最期の言葉だったんだ。』
部屋に入った私に、温かい紅茶が出される。
『さっきカンナも言ったよね。 「忘れていいんだよ?」って…』
え…?
夢の中と同じ台詞。
『覚えてない? 自分で言ったの。』
でも私、口に出してない。
恭平に言った覚えはない。
『覚えてないって事は、やっぱり紗羅だったんだね。』
『…そう…かもしれない…』
どちらかと言うと、私は幽霊とか死後の世界とか信じる方じゃない。
でも、これだけは本物に思えた。
紗羅さんが私を通して何か伝えようとしてる。
きっと恭平を救おうとしてるんだよ。
『恭平… 敵討ちなんてやめよう? 紗羅さんもそんな事望んでないよ?』
だったら私もそれに応えよう。
『忘れていいって… そういう意味だと思うの!』
あの時に立ち止まってほしくないから…
だからそう言ったんだと思う。
『ね、一緒に前に進もうよ…』
恐る恐る差し出した手。
恭平はその手を取って、私の膝に収めた。
『…ごめん… そんな簡単に進めない…』
どうしたら…
どうしたら、彼を止められるんだろう…
とどまる事なく流れる涙は、誰のモノだろう。
私か紗羅さんか…
もしかしたら両方かも知れない。
【紗羅さんと喋った】
そう言った私に対し、恭平は悲しげな笑みを向ける。
『俺も今…喋った…』
『…え…?』
『多分、紗羅だったと思う。』
恭平はそう言うと部屋の扉を開けて中へ入る。
扉は恭平が入った後も、閉められる事なく開いていた。
入って…いいの…?
しばらく待ってみても扉が閉まる様子はない。
私は戸惑いながらも足を踏み入れてみた。
『「忘れていいよ」ってね、紗羅の最期の言葉だったんだ。』
部屋に入った私に、温かい紅茶が出される。
『さっきカンナも言ったよね。 「忘れていいんだよ?」って…』
え…?
夢の中と同じ台詞。
『覚えてない? 自分で言ったの。』
でも私、口に出してない。
恭平に言った覚えはない。
『覚えてないって事は、やっぱり紗羅だったんだね。』
『…そう…かもしれない…』
どちらかと言うと、私は幽霊とか死後の世界とか信じる方じゃない。
でも、これだけは本物に思えた。
紗羅さんが私を通して何か伝えようとしてる。
きっと恭平を救おうとしてるんだよ。
『恭平… 敵討ちなんてやめよう? 紗羅さんもそんな事望んでないよ?』
だったら私もそれに応えよう。
『忘れていいって… そういう意味だと思うの!』
あの時に立ち止まってほしくないから…
だからそう言ったんだと思う。
『ね、一緒に前に進もうよ…』
恐る恐る差し出した手。
恭平はその手を取って、私の膝に収めた。
『…ごめん… そんな簡単に進めない…』
どうしたら…
どうしたら、彼を止められるんだろう…