小悪魔カレシ。
再会は突然に
「お姉サン、学校行くより俺と楽しいことしない〜?」
「……結構です」
あまりにも馬鹿っぽい台詞に鳥肌が立つのをこらえながら、あたしは歩みを早める。
ついてない。
朝っぱらから、変なものに出くわしてしまった……。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇
私立青葉ヶ丘学園高校。
あたしは都心にあるその高校に通う二年生、一ノ瀬凜(イチノセリン)。
高校が繁華街近くにあるせいで、通学途中に冷やかしのナンパが多いのが難点。
寝坊しかけて急いでるっていうのに、今日に限ってチャラそうな男に声をかけられてしまったあたし。
目すら合わせずに断ったっていうのに、さっきからしつこくついてくる。
この時間に小走りで急いでる女子高生に声かけて成功するワケないだろっ。
どう見ても暇には見えないはずなのに、朝から何を考えてるんだか。